NPO法人東京カウンセル
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アメリカの心理学者メラビアンは、言語によるコミュニケーションはわずか
7%に過ぎず、人の心を表出する大部分は非言語(表情・口調など)によると しています。では、なぜ、デジタル化された文章でのメール相談なのか? ![]()
マシスンとザナによる1988年の研究発表によると、コンピュータを媒介とし
たコミュニケーション(CMC)は、公的自己意識、つまり他人からの評価、外 見へのこだわり、人前での気兼ね、などが対面状態(FTF)よりも少なくなる という結果が出ています。
つまり社会的ネットワークの少ない人、FTFが苦手な人でも、メールによる
自己表現は可能となり、自己開示がしやすくなる、ということです。
通常の私たちのFace to Face(FTF)のコミュニケーションが基準ではない
のです。脳内伝達物質の分泌異常という「疾患」を抱えた人が、生エネル ギーの減退、対人苦痛、思考力・集中力低下の状態で、それでも、問題
解決の糸口をつかみたくて誰かに相談しようとしているのです。
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精神的なダメージを受けている人が、対面カウンセリングに新たな心理負
担を感じてしまうことは無理もないし、また、カウンセラーの推測や期待に 応えてしまおうと偽りの発言をしてしまうケースが多いのも当然です。FTF によって強められた公的自己意識は、カウンセリングにとって大きな障壁
なのです。
Computer Mediated Communication(CMC)であるメール相談は、そんな
自己意識を弱め、逆に、内面的な自己意識である私的自己意識を高め、ま た、非同期なコミュニケーションなので即時的な対応もなく自分の気持ちを 整理しやすい環境となります。 ![]()
相手の気持ちや視線を気にせずに本音を語れる環境、自分の気持ちをじっ
くりと整理できる機会、また文章化という作業によって自分の本音と向き合 えることも出来る。それに加えてメールは送信しておけばそれで済むので、 時間的な制約も、場所的な制約も、肉体的な負担も心理的負荷もなく、
また全国的、否、全世界的に通信可能。
・・・・それがメール相談がもつ意義です。確かに、金銭を支出して、カウン
セリング・ルームに予約時間に赴き、ラポール(信頼関係の構築)を経て、そ の後も何回も繰り返すことになる対面カウンセリングをすべての人たちが受 けられる世の中になれば素晴らしい。
でも、そんな夢のような未来まで、私たちは不安や悩みを一人で抱え込ん
で生きて行くわけにはいかない「現実」があるのです。 ![]()
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